いよいよ2020年3月13日のオーストラリGPを皮切りにF1が開幕しますね。
フェルスタッペンは最年少チャンピオンになる最後のチャンスですしパワーユニット世代になって苦渋を舐め続けてきたホンダにも「世界のホンダ」を知らしめるべくぜひ頑張ってほしいです!
レッドブルのクリスチャン・ホーナーやヘルムート・マルコおじさんのコメントを聞くと今年はメルセデスにチャレンジできるマシンに仕上がっていると自信たっぷりなのでなんとも心強い限りですね。
ただレッドブルホンダのマシンが性能向上している一方でライバル達も当然性能を向上させてきているわけですのでライバル達の状況も確認しておく必要がありますよね。
そこで今回はレッドブルホンダの最大のライバルであるメルセデスのマシンについて考察していきたいと思います。
メルセデスW11における昨年との違いは?
相変わらずスリムノーズですしフロントウイングも従来型とアウトウォッシュ型の中間的な感じで見た目的には昨年からさほど変わっていない印象です。

メルセデス曰く、パワーユニットの性能を極限まで向上させるのではなく空力性能を向上させてマシン全体のパフォーマンスを上げたとのこと。
小さなフィンが追加されたりフィン形状が変わっていたりと小さな変更がされているようですが大きな違いはリアカウルあたりがより絞り込まれているところですかね。

リアカウル周りを小さくするメリットは?
おそらくドラッグを小さくすることを狙ったものと思われます。
昨年のW10はダウンフォース量を増やすことにより低速コーナーのコーナーリング性能を向上させましたがその反面ストレートのトップスピードが犠牲になっていました。
今年はダウンフォースを増やしつつドラッグを減らすことにより低速、高速の両方で性能向上を目指したものと思われます。
リアカウル周りを小さくできたワケは?
どのチームもリアカウル周りを小さくしたいのですができない理由があります。
エンジンは熱との戦いなので常に冷やしてあげる必要がありその役目を担うのが「ラジエータ」です。
このラジエータはエアインテークから取り込んだ空気で冷やすため自ずとリアカウルのトップに配置されます。

従ってこのラジエータが大きいとリアカウル周りも大きくなってしまうわけですね。
今回メルセデスはエンジンを冷却水の温度が高くても問題なく動作するように改良したようでそれによりラジエータを小さくすることができたようです。
つまり冷却水をそれほど冷やす必要がないため小さなラジエータを採用出来たようです。
その結果リアカウル周りが小さくなりドラッグを減らせてストレートスピードも上げられるということになります。
DASとは?
W11で最も大きな変更はDAS(Dual Axis Steering)の採用です。
FIAに確認してレギュレーション上問題ないということになったようですがこんなシステムを採用してくるなんて正直反則ですよね。
DASとは何かというと、ハンドルを前後に動かすことによりタイヤのトウ角を変えることができるシステムのようです。
トウ角とは、人間の内股、ガニ股をイメージしてもらうとわかりやすいです。
車はタイヤが内股になっていると直進安定性が良くなり、がに股だとコーナーリングが良くなる特性があります。
よってストレートとコーナーでトウ角を変えることによりラップタイムを縮めることができるわけですね。
DASありなしで一周あたり0.2秒の差が出るらしいのでホンダのPU性能が上がったとしてもDASでサクッと相殺されそうですね。。
90年代にウイリアムズがアクティブサスペンションで無敵の時代を築きましたがそれぐらいのインパクトと反則度合いですよね。
DASが動作している様子がわかる動画があったので参考にしてみてください。
コーナーに入る手前でタイヤが外側に開く(ガニ股になる)様子が確認できます。
まとめ
昨年ぶっち切りでタイトルをとったメルセデスですが今年も死角なしという印象です。
メルセデスのマシンは昨年の時点でほぼ完成されていて、かつ2021年から大幅にレギュレーションが変わるため昨年型を踏襲しつつマイナーな変更が行われるぐらいかな?と思っていたのですが今年も容赦無くガチできましたね。
昨年の唯一の弱点は高温、高標高のサーキットでしたが、その弱点を克服する対策をとった上でラジエータを小さくして空力性能を高めるなんてどんだけクレイジーなんだって感じです。
本来は高温対策と空力性能はトレードオフ(相反するもの)のはずなんですよね。
高温対策するためにはラジエータを大きくする必要があり結果リアカウル周りが多くなって空力性能が犠牲になるのが普通ですからね。
加えてDASをぶっ込んできてダメ押しって感じです。
レッドブルホンダにとっては厳しい戦いになると思いますがハミルトンのポカを期待して応援しましょう!